The effect of homogenization on the physical properties of whip cream


Noda, M.; Yamamoto, H.

Journal of the Japanese Society for Food Science & Technology 43(8): 896-903

1996


It is known that the physical properties of whip cream vary with homogenization. However few investigators have referred to whipping properties. The effects of homogenization on the physical properties of imitation whip cream were investigated in this study. The whip cream consisted of 40% vegetable fat, 4% skim milk powder, 0.8% emulsifiers, 0.1% phosphate, and was homogenized at 0, 2, 5, 10, 20, 30 and 50 MPa using a 3-piston 200 l/h flat-valve homogenizer. The fat globule diameter and the free fat in the whip cream continuously decreased with an increase in homogenization pressures. Agglomeration of fat globules was observed at homogenization pressures higher than 20 MPa. While the whipping time was a maximum at a homogenization pressure of 20 MPa. The reason why the whipping time increased with an increase of homogenization pressures below 20 MPa is that both of the fat globule diameter and the free fat, which is one of the main elements of the structure of typical whipped creams, decreased. The reason why the whipping time decreased at pressures higher than 20 MPa is interpreted to be due to the fact that fat globules agglomerate to contribute to formation of whipped cream structure. Agglomeration of fat globules was not observed in whip creams to which sodium caseinate was added. Consequently, the whipping time increased with an increase of homogenization pressures, and the whip cream became unwhippable at the pressures higher than 20 MPa.

896
Nippon
Shokuhin
Kagaku
Kogaku
Kaishi
Vol
.
43
,
No
.
8
,
896
-903
(1996
)
〔報文〕
(
22
)
ホイップクリームの物性に及ぼす均質処理の影響
野田正幸*・山本晴敬*
The
Effect
of
Homogenization
on
the
Physical
Properties
of
Whip
Cream
Masayuki
NODA
and
Haruyoshi
YAMAMOTO
Snow
Brand
Milk
Produc
おCo
.,
Ltd
.
Technical
Research
んstitu
1
-1
-2
Minamidai
,Kawagoe
-shi
,
Saitama
350
-11
It
is
known
that
the
physical
properties
of
whip
cream
vary
with
homogenization
.
However
few
investigators
have
referred
to
whipping
properties
.
The
effects
of
homogenization
on
the
physical
properties
of
imitation
whip
cream
were
investigated
in
this
study
.
The
whip
cream
consisted
of
40
%
vegetable
fat
,
4
%
skim
milk
powder
,
0
.8
%
emulsiflers
,
0
.1
%
phosphate
,
and
was
homogenized
at
0
,
2
,
5
,
10
,20
,
30
and
50
MPa
using
a
3
-piston
200
1
/h
fl
at
-valve
homogenizer
.
The
fat
globule
diameter
and
the
free
fat
in
the
whip
cream
continuously
decreased
with
an
increase
in
homogenization
pressures
.
Agglomeration
of
fat
globules
was
observed
at
homogenization
pressures
higher
than
20
MPa
.
While
the
whipping
time
was
a
maximum
at
a
homogenization
pressure
of
20
MPa
.
The
reason
why
the
whipping
time
increased
with
an
increase
of
homogenization
pressures
below
20
MPa
is
that
both
of
the
fat
globule
diameter
and
the
free
fat
,
which
is
one
of
the
main
elements
of
the
structure
of
typical
whipped
creams
,
decreased
.
The
reason
why
the
whipping
time
decreased
at
pressures
hi
gher
than
20
MPa
is
interpreted
to
be
due
to
the
fact
that
fat
globules
agglomerate
to
contribute
to
formation
of
whipped
cream
structure
.
Agglomeration
of
fat
globules
was
not
observed
in
whip
creams
to
which
sodium
caseinate
was
added
.
Consequently
,
the
whipping
time
increased
with
an
increase
of
homo
-
genization
pressures
,
and
the
whip
cream
became
unwhippable
at
the
pressures
hi
gher
than
20
MPa
.
(Received
Dec
.
26
,
1994
)
現在市場で流通しているホイップクリームの多くは植
物脂肪を原料とした合成ホイップクリーム(以後,
リームという)であり,組成や調製方法によってその特
性は異なる.
クリームは水,油脂,乳成分および乳化剤
から構成され,
これらを混合,乳化して得られる.
リームの乳化における均質処理は,
クリームの乳化状態
および物性を制御する重要な工程である.
工業的均質処理には高圧バルブ均質機が使用され,
れの操作条件と物性との関係に関する報告がある.例え
ば,
KIESEKER
et
al
.
1
)2
)は10
MPa
以下の均質圧力を適
用したクリームが圧力の増加とともにホイップ時間が増
加すること,野田ら3
)は20
MPa
以下の均質圧力で調製
したクリームが,
7
.5
MPa
でホイップ時間が最大値を示
すことを報告した.均質圧力が高くなるとクリーム中の
脂肪球が微細化するので,乳化安定性が向上し‘)ホイッ
プ時間が増加すると考えられるが20
MPa
以上の均質処
理に関する報告はない.
また,均質圧力が高くなると脂
肪球が凝集することが報告されているが5
),
ホイップ時
間におよぼす影響については明らかではない.
本研究では,
0
-50
MPa
の圧力範囲で,均質圧力がク
リームの安定性およびホイップ時間におよぼす影響,
らに脂肪球の凝集とホイップ時間との関係を明らかにす
ることを目的とした.
1
.
クリームの組成と調製方法
*雪印乳業(株)技術研究所(W350
-11
埼玉県川越市南台1
-1
-2
)
(
23
)
野田・山本:ホイップクリームの物性と均質処理
897
クリームの組成をTable
l
に示した.上昇融点33C
の脂肪40
.0
%,脱脂粉乳4
.0
%,乳化剤0
.8
%,
リン酸塩
0
.1
%を基本組成とし,必要に応じて0
.5
および1
.0
%の
カゼインナトリウム(以後,
カゼインという)を添加し
Table
1
Formulation
used
for
preparation
of
whip
cream
Composition
(g
/100
g
)
Fats
Skim
milk
powder
Emulsifiers
Lecithin
Monoglyceride
Sugar
ester
Phosphate
Water
40
.0
4
.0
0
.5
0
.1
0
.2
0
.1
55
.1
Water
and
others
Heating
(60C
)
Fats
and
emulsifiers
Pre
-emulsification
with
homomixer
Weighing
Mixing
Heating
(70
'C
)
Emulsification
with
homogenizer
0
-50
MPa
Cooling
Whip
cream
Fig
. 1
Preparation
process
for
whip
cream
た.
クリームの調製方法をFig
. 1
に示した.原料を秤
量,溶解,加熱後,ホモミキサー(特殊機化工業)で5
撹拌し予備乳化とした.
その後,
3
ピストン平型バルブ
均質機(三和機械,
2001
/h
)を用い0
,
2
,
5
,
10
,
20
,
30
,
50
MPa
の圧力で処理した.
このとき用いた均質バルブ
の概略図をFig
.
2
に示した.均質ハンドルでバルブを押
し込んだ時にできるシートとバルブの間の約100
jim
間隙をクリームが流動するときに脂肪球は細かく分散す
る.均質処理時のクリーム温度は60
±2
℃であった.均
質処理したクリームを直ちに氷水中で5
℃まで冷却し,
5
℃冷蔵庫に一夜冷蔵保存後,測定に供した.
クリーム
調製から測定までの一連の実験を2
回実施した.
2
クリーム物性の測定方法
クリームの乳化安定性の指標として脂肪球径,脂肪球
の形状,粘度,遊離脂肪量を,
ホイップ特性の指標とし
てホイップ時間,
オーバーラン,
ホイップドクリームの
遊離脂肪量を以下の方法で測定した.本報でいうクリー
ムとはホイップ前の液状体を,
ホイップドクリームとは
ホイップ後の気泡を含む塑性体を指す.
(1
脂肪球径
位相差顕微鏡で観察した脂肪球を
200
個計測し(1
)式6
)で体積平均径を求めた.
Dv
=(E
(Da3
)/fl
)'13
ここでDv
は体積平均径いm
),
Da
は計測した脂肪球径
いm
),
n
は個数(一)である.
Sharp
inlet
Valve
Seat
Sample
10
.8
-*
18
.0
earance
Fig
.
2
Details
of
the
valve
and
seat
The
seat
is
a
plane
-faced
type
with
sharp
inlet
.
898
日本食品科学工学会誌
第43
第8
1996
年8
(24
)
(2
)脂肪球の形状
位相差顕微鏡で撮影した脂肪球
について,画像解析装置(PIAS
LA
555
)を用いて(2
)式
で定義した形状係数7
)を求めた.
形状係数=(4
7t
×面積)ノ(周囲長)2
この形状係数は,
1
.0
のとき円を示し1
.0
から離れると
ともに円形から遠ざかり不定形となる.
(3
)粘度
B
型粘度計(東京計器)を用い10
℃で測
定.
(4
遊離脂肪量
クリームあるいはホイップドク
リームに含まれる脂肪のうち,四塩化炭素で抽出可能な
部分を遊離脂肪量と定義しNODA8
の方法に従って測定
した.
クリームの遊離脂肪量は脂肪球皮膜の壊れやすさ
を表す9
)'
(5
ホイップ時間・…・・GE
ミキサー(GENERAL
ELECTRICS
)
を組み込んだホイップ試験機l
のを用いて
クリームのホイップ時間を求めた.
ホイップ試験機を
Fig
.
3
に示した.
この試験機は,
ミキサーとその制御部,
ひずみゲージと増幅器および記録計から構成され,ボウ
ルに定量入れたクリームをホイッパーで撹拌した時に生
じるホイップドクリームの硬さをひずみゲージで検出し
増幅して記録する,
ホイップ経過に伴う造花性とホイッ
プドクリームの硬さの変化を求め,最適造花性を示すホ
ノプドク
リームの硬さを設定しホイップ終点とし
た3
)
(6
オーバーラン
ホイップドクリームのオーバー
ランは(3
)式で算出した.
オーバーラン(%)=((A
-B
)ノB
)
x
100
ここでA
は一定容積のクリーム重量,
B
は同容積のホ
イップドクリームの重量である‘
結果と考察
1.
クリームの乳化安定性におよぼす均質圧力の影響
I
ー一-ー.-
クリームの乳化安定性はクリーミングと脂肪球の安定
性で評価されるIt
)が,ホイップ特性に影響するのは後者
である.本研究では,脂肪球の安定性を脂肪球径と遊離
脂肪量で評価した.最初に,均質圧力と脂肪球径との関
係について調べた.
均質圧力0
,
2
,
10
,
50
MPa
におけるクリームの脂肪
球分散状態をFig
.
4
に示した.均質圧力が高くなるとと
もに脂肪球は微細化し,
30
MPa
を超える均質圧力で脂
肪球の凝集体が観察され,
この凝集体は振盪しても再分
散しなかった.凝集発現と並行してクリームの流動性が
低下した.凝集体を除いた脂肪球の粒径におよぼす均質
圧力の影響をFig
.
5
に示した‘脂肪球径は,
20
MPa
では圧力に対して指数関数的に減少し,
20
MPa
を超え
るとほぼ一定になった.均質圧力が高い領域で脂肪球径
が―定になったのは,均質処理における脂肪球微細化と
合―がつりあったためと考えられる.
つぎに,均質圧力とクリームの遊離脂肪量との関係を
Fig
.
6
に示した.均質圧力0
MPa
で62
%,
2
MPa
32
%と高い値を示したが,
10
MPa
以上で約10
%にな
り,
50
MPa
までほぼ一定であった.遊離脂肪量は脂肪
球皮膜の壊れやすさを表すので,均質圧力の増加ととも
に乳化安定性が向上することが判った.
2
ホイップ特性におよぼす均質圧力の影響
均質圧力とホイップ時間との関係をFig
.
7
に示した.
圧力の増加とともに,
ホイップ時間は20MPa
までは増
加し,
20
MPa
で最大値を示し,
20
MPa
を超えると減少
した.
この結果はlOMPa
以下で処理したKIESEKER
et
al
.
1
)2
〕の報告と一致したが野田らの結果3
)とは最大値を
示す均質圧力が異なった.後者の原因は,本実験のク
リームの脂肪率が野田ら3
)より低くホイップ終了が遅れ
たものと考えられる.
Fig
.
8
に,
ホイップドクリームの
オーバーランにおよぼす均質圧力の影響を示した,処理
圧力の増加とともに,オーバーランは低下し,気泡が減
少していることが判った.
ところで,Fig
.
5
,
6
に示したように,均質圧力の増加
とともに脂肪球径は小さく遊離脂肪量は減少した~脂肪
球径が減少すると剪断などの物理的衝撃に対して安定に
なり,遊離脂肪量の減少も脂肪球皮膜を強固にしいずれ
も乳化安定性を向上させホイップ終了を遅らせると推定
できる.
Fig
.
7
に示したように,均質圧力が20
MPa
ではホイップ時間が増加し,推定と一致するが,
20
MPa
を超えるとホイップ時間が減少し,推定と異なった.均
質圧力が20MPa
以上ではホイップドクリームの構造形
成に寄与しホイップ時間を減少させる要因が存在すると
・●・
J
譲虜
Fig
.
3
Experimental
apparatus
for
whip
test
(25
)
野田・山本:ホイップクリームの物性と均質処理
899
.
盗。
雄I
議題濯慧鑓
、連
dlI
」毒I
、’
4c
'
‘、
邸r
瓢」
'‘驚撫
,三鷺鍵難盤,
葦・薯「
‘『穀パ論ゴぎ,ぎ
露I
;蒼曳j
鰍寧A
、二1
軸旦、
」糸』h
『江柳
Y
燕議鷲鱗
」芝’’汽
p
'
.h
,"f
Fig
.
4
Phase
contrast
observation
of
fat
globules
at
various
homogenization
pressures
a
,
0
MPa
; b
,
2
MPa
;
c
,
10
MPa
;
d
,
50
MPa
.
100
80
-
60
I
I
I
I
I
10
20
30
40
50
Homogenization
pressure
(MPa
)
I
10
20
30
40
50
60
Homogenization
pressure
(MPa
)
Fig
.
5
Effect
of
the
homogenization
pressure
on
the
fat
globule
diameter
考えられる.
3
高い均質圧力におけるホイップ時間減少要因
ホイップドクリームは,遊離脂肪,水相,凝集脂肪球
および気泡からなるネットワーク構造である8
),
ホイッ
プドクリーム中の遊離脂肪は構成要素間の繋ぎとして働
Fig
.
6
Effect
of
the
homogenization
pressure
on
the
free
fat
content
of
whip
cream
きホイップ経過とともに増加してホイップドクリームの
構造を強固にし,気泡と凝集脂肪球はネットワークを形
成し構造に寄与していると考えられる.
そこで,
ホイップドクリームの遊離脂肪量におよぼす
900
日本食品科学工学会誌
第43
第8
1996
年8
(
26
)
15
100
.
o
I
I
60
10
20
30
40
50
Homogenization
pressure
(MPa
)
Fig
.
7
Effect
of
the
homogenization
pressure
on
the
whip
time
60
10
20
30
40
50
Homogenization
pressure
(MPa
)
Fig
.
9
Effect
of
homogenization
pressure
on
the
free
fat
content
of
whipped
cream
方,後者では,
ホイップドクリームの遊離脂肪量の平均
値,約50
%8
)より低く,構造を維持するための量が不足
している.
しかしホイップ時間は減少しているので,
の領域では遊離脂肪よりも他のホイップドクリーム構成
要素の影響が大きいと考えられる.遊離脂肪以外に構造
を支持する要素としては気泡と凝集脂肪が考えられる‘
Fig
.
8
の結果から,気泡量は処理圧力とともに減少する
ので気泡の影響は小さいと判断した.
ところで,
Fig
.
4
に示したように,高い均質圧力では
脂肪球の凝集体が観察され,流動性が低下した.流動性
を評価するために,
クリームの粘度におよぼす圧力の影
響をFig
.
10
に示した.均質圧力2
-20
MPa
では粘度が
100
mPa
'
S
であったが30
MPa
を超えると10
000
mPa
・S
以上になった.
高い均質圧力における脂肪球凝
集体の発現とそれに伴う粘度増加は,
クリームの状態で
既にネットワーク構造を有しているとみることができ
る.従って,
20
MPa
を超える均質圧力でホイップ時間
が減少したのは,
クリーム中の脂肪球凝集体のネット
ワーク構造がホイップドクリームの構造形成に寄与した
ためと考えられる.
以上の結果から,ホイップドクリームの構造形成i
は,低い均質圧力では遊離脂肪,高い均質圧力では脂肪
球の凝集体の影響が大きいと考えられる.
この時のホ
イップドクリームの構造モデルを均質圧力が高い場合と
低い場合とに分けてFig
.
11
に示した.図中の脂肪球は
均質圧力の高低にかかわらず全て球として表した.
:」
トーー
100
50
Homogenization
pressure
(MPa
)
Fig
.
8
Effect
of
homogenization
pressure
on
the
overrun
of
whipped
cream
均質圧力の影響を調べ結果をFig
.
9
に示した.遊離脂肪
量は均質圧力0
MPa
で65
%を示し20
MPa
までは急激
に,
20
MPa
を超えると緩やかに減少して50
MPa
では
32
%となった,員g
.
7
およびFig
.
9
の結果から,
0
-20
MPa
の領域では遊離脂肪量の減少とともにホイップ時
間が増加し,
20
MPa
以上の領域では遊離脂肪量が少な
く一定の状態でホイップ時間が減少している.前者は,
ホイップドクリームの遊離脂肪が構造形成に寄与してい
る系であり,均質圧力が増加するとともに遊離脂肪量は
減少して構造形成が遅れホイップ時間が増加する.一
(
27
)
野田・山本:ホイップクリームの物性と均質処理
901
4
高い均質圧力における凝集体の発現
高い均質圧力における脂肪球凝集体の発現について考
察する.
VAN
BOELEL12
)は脂肪球の凝集は脂肪球が接近
した時,表面に存在する結晶脂肪が相手の脂肪球を貫き
界面の一部を共有するためであると推定した.凝集の原
因が結晶脂肪による脂肪球の損傷とすれば,凝集体が発
現した30
MPa
以上でクリームの遊離脂肪量が増加する
と考えられる.
しかし,Fig
.
6
に示したように5
MPa
超えると遊離脂肪量は10
%でほぼ一定であり,凝集の
原因は他にあると考えられる.
ところで,
Fig
.
4
を観察
すると,
0
-lO
MPa
の圧力では脂肪球は円形であった
10
i
が,50
MPa
では脂肪球(凝集体を除く)の形状が円形か
ら外れるものが多かった.
この時の脂肪球の形状を定量
化し粘度との関係を調べた結果をFig
.
12
に示した.形
状係数が小さいほど,即ち脂肪球の形状が円形から遠ざ
かると粘度は増加した.
この結果は,脂肪球の形状が不
定形になって脂肪球同志の相互作用が大きくなり凝集す
ることを示唆している.
つぎに脂肪球が不定形になる原因を検討した.脂肪と
105
101
0
.80
1
.00
0
.85
0
.90
0
.95
Shape
factor
(-)
Fig
.
12
Relation
between
the
shape
factor
and
the
viscosity
Correlation
equation
and
coefficient
:
viscosity
=
1
.31
X
loll
X
exp
(-
37
.6
x
shape
factor
),
r
=0
.76
.
1
(ii
'v
I
0
10
20
30
40
50
60
Homogenization
pressure
(MPa
)
Fig
.
10
Effect
of
homogenization
pressure
the
viscosity
of
whip
cream
on
灘’
Low
pressure
Fig
.
11
The
possible
model
for
the
structure
of
homogenization
pressure
.
The
whipped
cream
consists
of
following
four
elements
.
0
,
fat
globule
;
0
,
aqueous
phase
;●
,
free
fat
;
0
,
air
bubble
.
whipped
High
pressure
cream
treated
with
low
or
high
902
日本食品科学工学会誌
第43
第8
号1996
年8
(28
)
して本実験使用油脂およびこれとは別の液状油を用い,
凝集が発現した50
MPa
で均質処理し結晶脂肪の影響を
調べた.Fig
.
13
に,クリームを均質した直後と一日冷蔵
保存後の脂肪球の形状係数を示した.形状係数は脂肪の
違いにかかわらず均質直後に0
.9
以下となり,本油脂を
使用した場合保存後にさらに0
.8
まで減少した.
Fig
.
12
の結果は,形状係数0
.9
で既に凝集が発現し0
.8
でそれ
が顕著になることを示している.均質直後の形状係数
0
.9
は均質圧力の影響,本実験油脂使用の一日冷蔵保存
後に0
.8
に低下するのは脂肪の結晶化の影響と判断し
た.均質直後の形状変化は脂肪球表面積の増加に見合う
タンパク質が不足するため,一方冷蔵保存中の形状変化
は,脂肪球が界面を接して密充填状態で存在するため
に,脂肪球の変形が結晶固化後も保持されたと考えられ
る.
5
脂肪球凝集を抑制したクリームの調製とその特性
高い均質圧力で処理したクリームのホイップ時間が減
少する原因は,脂肪球の形状変化に伴う脂肪球の凝集で
あることが判った.
これを確認するために,脂肪球凝集
を抑制したクリームを調製しその特性を調べた.
タンパ
ク質は乳化剤の外側に吸着し脂肪球皮膜を安定化する13
)
ことが知られている.
そこで人為的に脂肪球の安定性を
変えるために,
タンパク質としてカゼインを0
.5
および
1
.0
%添加し,脂肪球凝集,脂肪球の形状係数およびホ
イップ時間を調べた.
カゼインの添加量と均質圧力が脂肪球の凝集におよぼ
す影響をTable
2
に示した.
カゼイン無添加では30
Table
2
Effect
of
homogenization
pressure
on
the
aggregation
of
fat
globules
prepared
with
various
concentration
of
sodium
caseinate
Homogenization
pressure
(MPa
)
0
2 5
10
20
30
50
Sodium
caseinate
(%)
+
+
+
0
0
.5
1
.0
-,
Without
aggregation
;
十,
aggregation
.
Without
S
0
.95
-
8
0
0
.80
0
10
20
30
40
50
60
Homogenization
pressure
(MPa
)
Fig
.
14
Effect
of
homogenization
pressure
on
the
shape
factor
of
fat
globule
Cuncentration
of
sodium
caseinate
(%)
:
0
.
0
.0
;
0
,
0
.5
;
S
.
1
.0
MPa
,
0
.5
%添加系では50
MPa
で脂肪球の凝集が発現
したがカゼイン1
.0
%添加系では発現せず,
カゼインを
添加することによって凝集が抑制された.
この結果から
タンパク質を添加することで均質処理に起因する脂肪球
表面積の不足を補うことができることが判った.
この時
の均質圧力と脂肪球の形状係数との関係をFig
.
14
に示
した.
カゼイン無添加系と比べると,
カゼイン添加系で
は,形状係数は1
,0
に近づいた.ただし,凝集が観察され
たカゼイン0
.5
%添加系は50
MPa
で0
.85
まで低下し
た.なお,別の実験でカゼインを0
.5
あるいは1
.0
%添加
したクリームの脂肪球径は無添加系に比べて若干小さ
く,遊離脂肪量は均質圧力20
MPa
を超えると5
%以下
となることを確認した‘従って,
カゼインを添加するこ
とによって,脂肪球皮膜が保護され,均質処理,脂肪結
0
.80
0
.75
0il
Fat
Fig
.
13
Effect
of
the
fats
and
oils
and
the
aging
on
the
shape
factor
All
creams
were
prepared
with
the
homogenization
pressure
of
50
MPa
.
Bars
indicate
standard
deviation
.
j
,
immediately
after
homogenization
:罵,
after
overnight
aging
.
(
29
野田・山本:ホイップクリームの物性と均質処理
903
Table
3
Effect
of
homogenization
pressure
on
the
whip
time
of
the
cream
prepared
with
various
concentration
of
sodium
caseinate
Sodium
caseinate
(%)
Homogenization
pressure
(MPa
)
0
2
5
10
20
30
50
0
2
.08
5
.42
7
.43
7
.61
11
.07
9
.08
5
.97
0
.5
2
.60
4
.69
7
.81
7
.66
Uw
*
Uw
4
.93
1
.0
2
.67
7
.45
10
.59
9
.71
Uw
Uw
Uw
車UW
means
unwhippable
.
晶化の影響が低下し脂肪球の形状が円に近づくと考えら
れる.
カゼインを添加したクリームのホイップ時間をTable
3
に示した.
均質圧力の増加およびカゼインの増加とと
もにホイップ時間は増加し,
カゼインを添加した均質圧
力20
MPa
を超える系ではホイップ不能となった.
ただ
し,凝集が発現したカゼイン0
.5
%添加,均質圧力50
MPa
の系はホイップ可能であった.
20
MPa
を超える均
質圧力では,脂肪球径および遊離脂肪が減少してクリー
ムの安定性が増加するのでホイップ時間は増加し,
カゼ
インを添加すると脂肪球の凝集が抑制されてさらに時間
が増加すると考えられる.
この結果は,高い均質圧力に
おける脂肪球の凝集がホイップ時間を減少させる要因で
あることを支持する.
0
-50
MPa
の範囲の均質圧力がクリームの安定性,ホ
イップ時間におよぼす影響について検討し,以下の知見
を得た,
(1
)均質圧力の増加とともに,脂肪球径が減少して,
脂肪球皮膜は壊れにくくなり,乳化安定性は向上した.
(2
ホイップ時間は,均質圧力の増加とともに20
MPa
以下では増加し20
MPa
を超えると減少した.低
い均質圧力領域では,
ホイップドクリームの遊離脂肪
量,高い均質圧力領域では脂肪球凝集がホイップドク
リームの構造形成に寄与していると考えられる.
(3
)高い均質圧力領域における脂肪球凝集の原因は,
脂肪球の形状変化であり,
これは脂肪球皮膜物質の不足
と脂肪球密充填による変形に起因する.
(4
カゼインを添加して,高い均質圧力領域における
脂肪球凝集を抑制するとクリームのホイップ時間が増加
した.
この結果は,脂肪球凝集がホイップ時間減少の原
因であることを支持した.
1
)
2
)
3
)
4
)
5
)
6
)
7
)
8
)
9
)
10
)
11
)
12
)
13
)
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